第186回 自宅を買い替えたいと思います。売却が先でしょうか。購入が先でしょうか。

第186回 自宅を買い替えたいと思います。売却が先でしょうか。購入が先でしょうか。

自宅の買い替えは、人生の中でも大きなイベントのひとつです。住み慣れた家を手放して新たな住まいへと移るには、タイミングや資金計画が非常に重要になります。とりわけ「売却が先か購入が先か」という判断は、多くの人が直面する悩みです。それぞれに利点とリスクがあるため、自分の状況や優先事項に合わせた選択が求められます。
まず自宅を買い替えで「売却を先に行う」ケースについて考えてみます。この方法の大きなメリットは、資金計画が立てやすくなるという点にあります。現在の自宅がいくらで売れるかが確定していれば、新たな住宅購入にかけられる予算も明確になるのです。売却益を頭金で次の住宅に充てることができるため、無理のないローン設定が可能です。住宅ローンを二重で抱えるリスクも避けられます。ただし売却してすぐに次の家が見つかるとは限らず、一時的に仮住まいが必要になるケースもあります。仮住まいには引っ越し費用や家賃が発生し心理的にも落ち着かない期間が生じるため、この点は大きなデメリットとなるのです。
一方「購入を先に行う」方法もあります。こちらの利点は自分の希望に合った物件をじっくり探し、納得のいく条件で契約できるということです。住み替えのタイミングを自分でコントロールしやすく、仮住まいをせずにスムーズに移行できる可能性が高くなります。家族のライフスタイルや子どもの進学時期などに合わせて柔軟に動ける点も魅力です。しかしこの方法では旧居の売却価格が未定のまま新居を購入するため、資金計画にズレが生じる恐れがあります。売却が予想よりも安くなった場合ローンの返済計画に影響が出る可能性がありますし、二重ローンを抱えるリスクも無視できません。金融機関によっては旧居を売却しない限り新たなローン審査が通らない場合もあるため、事前の確認が必要です。売却と購入のどちらを先にするかを判断するには現在の資産状況やローンの残債、家族の事情住み替えの緊急性などさまざまな要素を総合的に見極めることが重要なのです。