第184回 自宅を売却したいと考えています。売却前にどの程度修繕したらよいかを教えていただけますでしょうか。

第184回 自宅を売却したいと考えています。売却前にどの程度修繕したらよいかを教えていただけますでしょうか。

自宅を売却する際、どの程度まで修繕を行うべきかという疑問は多くの売主が直面する問題です。売却前の修繕は物件の印象を良くし、スムーズな売却や高値での成約を実現する上で一定の効果がありますが、過度に費用をかけても必ずしも利益に直結するとは限りません。そのため費用対効果を考慮しながら、必要な修繕とそうでない部分を見極めることが重要です。

まず大前提で、自宅を売却する際に「必ず修繕しなければならない」という義務はありません。多くの不動産は「現状有姿」で販売されることが一般的であり多少の古さや不具合があっても、その状態で売却することは可能です。ただし現状のままでは買主に悪印象を与え、売却までに時間がかかったり価格交渉で不利になるリスクが高まることもあるため最低限の修繕や美観の改善を検討することは現実的な判断といえます。

具体的に修繕を検討すべき箇所では、まず水回りや設備の不具合が挙げられます。キッチンや浴室トイレなどは内覧時に買主が特に気にするポイントであり、水漏れや排水の詰まり、異臭などがあると印象が大きく損なわれるのです。こうしたトラブルは簡易な修理で済むことも多く費用も比較的抑えられるため、事前に点検し必要に応じて対応するのが望ましいです。電気系統の不具合や換気扇の故障など、生活に支障が出るような設備についても同様に対処すべきでしょう。

次に検討されるのが、内装の修繕です。壁紙の大きな剥がれやシミ、床の目立つ傷などは、部屋全体の印象を暗くしてしまいます。こうした部分的な劣化については可能な範囲で修繕や補修を行うことで、見た目の印象が大きく改善され買主に良い印象を与える効果があります。特に玄関からリビングにかけての主要な動線にあるスペースは第一印象を左右する重要なエリアであるため、最低限のリフレッシュを行っておくと効果的です。