第180回 自宅を売却したいのですが、近所に知られたくありません。可能でしょうか。また注意することはあるでしょうか。
自宅を売却する際に、近所に知られずに進めたいと考える方は少なくありません。近所に知られたくないといったプライバシーの観点や余計な詮索を避けたいという心理から、できる限り静かに売却活動を行いたいというニーズは根強いものです。結論から言えば近所に知られずに売却することは「可能」ですが、いくつかの条件や制約、注意点があります。事前に正しい知識を持って進めることで不要なトラブルを回避しながら、安心して売却を進めることができます。
まず不動産会社に依頼する際に「非公開で売却したい」という希望を明確に伝えることが第一歩です。不動産の販売活動には大きく分けて「公開型」と「非公開型」があり、通常はインターネット上のポータルサイトやチラシ配布・現地看板設置などで広く買い手を募る公開型が一般的です。しかし、こうした方法ではどうしても近所に知られる可能性が高まります。そこで近所に知られずに売却したい場合は、広告を出さず不動産会社の内部ネットワークや登録顧客への限定紹介によって買主を探す「水面下売却(非公開売却)」を選択することが有効です。この方法であれば、周囲に知られることなく売却活動を進めることが可能になります。
ただし非公開で売却を進める場合は、売却に時間がかかる可能性や価格交渉に制限が出ることがある点に注意が必要です。広く情報を出さない分買い手候補の数が限られ、相場通りの価格で売れにくい場合もあります。そのため売却価格の設定には柔軟性を持たせるとともに、不動産会社と十分に相談してどの程度の期間でどのような条件で売却を進めたいのかを明確にすることが重要です。内覧の対応にも工夫が必要です。通常売却物件の内覧には現地での案内が伴いますが、この際も近隣住民に不自然な動きと感じさせないよう配慮が求められます。