第169回 自宅を売却しようと考えています。売主の瑕疵担保責任というのがあると聞きました。どのようなものでどのようなことに注意すればよいでしょうか。
自宅を売却する際、売主は「瑕疵担保責任」という法的責任を負う場合があります。これは売却した不動産に隠れた瑕疵、つまり外見では気づけない欠陥があった場合に売主が買主に対して責任を取る義務を指します。瑕疵担保責任は売却時点で売主が知らなかった、または買主に告知しなかった不具合に関するものでたとえば基礎のひび割れや雨漏りシロアリ被害といった構造的な問題や給排水設備の不具合などが該当するのです。特に中古住宅の売買ではこの責任が売主に問われることが多いため、注意が必要です。
現行の法律では、瑕疵担保責任は基本的に「契約不適合責任」という形で規定されています。これにより買主が購入した物件が契約で約束された状態に合致しない場合、買主は売主に対して修理の請求や代金の減額契約の解除を求めることができます。故意に瑕疵を隠していた場合や告知を怠っていた場合には、損害賠償請求も行われる可能性があります。このため売主では売却前に物件の状態をしっかりと確認し、瑕疵があれば買主に誠実に告知することが重要です。
自宅を売却する際には瑕疵担保責任を適切に管理し、トラブルを未然に防ぐための対策が必要なのです。まず売主が物件に関する情報を正確に把握しておくことが第一歩です。売却前に専門家による建物検査(インスペクション)を実施することで隠れた瑕疵の有無を確認し、問題があれば事前に修繕するかその旨を買主に告知することができます。インスペクションを行うことで買主に対して信頼性のある情報を提供できるだけでなく、売却後に責任を問われるリスクも軽減されます。
売買契約の際には、瑕疵担保責任に関する条項を明確にしておくことが重要です。一般的には契約書に「瑕疵担保責任免責」の特約を盛り込むことができますが、この特約が適用されるのはあくまで売主が個人の場合でありかつ買主がこれを了承した場合に限られます。
瑕疵担保責任は売主にとって避けて通れない重要な問題ですが、適切な対策を講じることで、大きなリスクを回避することが可能です。事前の準備と誠実な対応が、円滑な不動産取引を実現するための鍵となります。