第162回 湿度の高い家が近年増えてきたという記事をとこかで目にしました。どのようなことでしょうか。それは本当でしょうか。
湿度の高い家が近年増えてきたというのは、結論からいえば本当のことだといえます。
どのようなことで湿度の高い家が近年増えてきたか、その理由はいくつかあります。一つは気密性が向上したことで、室内の湿気が外に逃げにくくなったことが挙げられます。近年の住宅はエネルギー効率重視の設計で、自然に換気が行われる隙間風はほとんど入りません。そのため換気不足になりやすく、計画的な換気の重要性が高まっています。換気設計に問題はなく換気が正しく行われていて、湿気がこもりにくい住宅が現代の理想の住宅です。
もう一つの理由は部屋干しで、これも気密性の向上と関係します。プライバシーなどの観点から部屋干しをする人が、近年は珍しくなくなっています。特に若い人を中心に、部屋干しをする人が増えているというデータがあります。部屋干しをすると換気が追いつかなくなり、結果として湿度が高くなります。古い建築設計の住宅であれば、隙間風が自然に換気してくれるので、湿気がこもることはあまりありませんでした。
部屋干し以外に、湿気を発生させて湿度が高くなる観葉植物や加湿器の使用も原因です。観葉植物はたくさん置かないこと、加湿器は湿度を確認して使用するといった注意が必要でしょう。
湿度の高い家が近年増えてきた、その極めつけといえば気候変動です。日本は降雨量が増加傾向で、中でも夏場の湿度が非常に高くなっています。気温の上昇とともに湿度が高くなっていて湿気は増える一方です。近年増えている湿度の高い家では、エアコンの除湿機能や除湿機を使用しないと、カビやダニが発生してしまいます。
乾燥を恐れるあまり、湿度を確認せずに加湿器を使用するのは間違いです。暖房で空気が乾燥する冬場に加湿器を使用するのは正しいですが、夏は換気と除湿を心がけるようにしましょう。どのようなことが湿度の高い家が近年増えてきた理由か、それを理解して対処するようにしたいものです。