第156回 集合住宅の呼び方にはさまざまありますが、その違いを教えてください。

集合住宅はマンションかアパートと呼ばれることが最も多いです。実はその呼び方には明確な定義はありません。マンションやアパートの他にもコーポやハイツ、カーサやメゾンといった呼び方がありますが、これらの呼び方には全て決まりがありません。

基本的には大家や不動産会社など経営や管理をする事業者などの主体が独自に判断して、建物の名前にマンションやアパートなどと付けて呼んでいます。しかし「マンションっぽい」「アパートっぽい」といった一般的な基準はある程度あります。マンションとアパートの違いの一つは「構造」です。

マンションの場合は鉄筋コンクリート造(RC)、鉄骨造(S)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)で建てられているケースが多い傾向にあります。鉄筋や鉄骨などが使用されているマンションは、アパートより防音性に優れているのがメリットです。気密性が高く断熱効果が高い部屋が多いので、電気代の節約にもなるでしょう。ただし、気密性の高い空間は、湿気とニオイの原因にもなり得ます。玄関やクローゼットなど湿気がこもりやすい場所は、しっかり換気する必要があるでしょう。

一方、アパートの場合は、木造または軽量鉄骨造の建物である場合が多いです。木造アパートの場合、あまり防音性は期待できませんが、通気性が高いという特徴があります。マンションより湿気がこもりにくいので、カビが発生しにくい環境であるといえます。階数にも違いがあります。マンションは特に階数制限はなく、3階以上の物件であるケースがほとんどです。一方2階くらいまでの建物は、アパートと呼ばれることが多いです。

またアパートは基本的な設備だけ整っているシンプルな物件が多い一方、マンションにはエレベーターやオートロック、宅配ボックスといった便利な設備が取り揃っている場合があります。一般的にマンションは住民の数が多いので、一戸あたりの設備コストが少なくて済みますが、アパートは戸数が少なく一戸あたりの設備コストが大きくなるので、基本的な設備のみが整っているケースが多いのです。