第143回 宅地建物取引士とはどのようなことをするのでしょうか
宅地建物取引士とは国家資格であり、それを保有している人を指す言葉でもあります。不動産業で扱うお金は高額であることが多く、取引の際には重要な責任が発生します。その取引をする両者が宅地建物に関して知識が希薄だと、適切な価格での売買は成立しません。そのような事態を避けるという意味でも、この資格保有者は法律などの見地から公正な取引を支援します。
具体的な仕事の内容として最も大切なのは、重要事項説明を顧客に行うことです。さらに契約を締結したときに、書類に押印や署名を行うことも同様です。これらは単なる営業担当者には行えない仕事なので注意してください。宅地建物取引士の資格を持っている人のみが行える業務です。つまり、この資格はいわゆる業務独占資格に該当する高度なものです。不動産業界でキャリアを積んでいきたいなら、取得することが前提といっても過言ではありません。
もちろん営業活動を普通に行っているケースも多く、売買を希望する人に適切なサポートを提供します。専門知識にも基づいて実施するため、トラブルが起こりにくいという特徴もあります。希望の物件を探すことにも長けており、建物の仕様を分析して適切な物件の提示が可能です。そこから契約上のサポートまでワンストップで行えることが大きな強みとなっています。途中で担当者が変わらないので、顧客は安心して任せられるというわけです。
クライアントになるのは一般消費者だけではありません。デベロッパーから頼まれて広告活動などを実施するケースもよくあります。また、不動産経営のアドバイスをしたり、コンサルティングを依頼されたりするケースも多いです。もちろん自分でマンションの管理などを手がけることもよくあります。このように多様な業務に関わっており、不動産業界に不可欠な潤滑油といえる存在です。何より顧客や取引先の企業からの信頼が厚いため、不動産会社としては多く雇用しておくメリットが大きいです。