第118回-自宅を売却しようと考えています。売却後、庭木や石などの所有権についてトラブルになることがあると聞きました。これも含めて、その他注意すべきことを教えてください。

自宅の売却を検討している人が気になることの1つに、売却後に発生する所有権絡みのトラブルがあります。例えば庭木や石など、動かすのが難しいものについては、所有権がトラブルの引き金になりがちです。土地を含めた不動産の売却において、庭木や石といったものの扱いは不動産の定着物とみなされます。つまり土地の上にあるもので、建物や木々にといったものがあてはまります。土地から分離することができない庭木や石などは、必然的に不動産と一緒に取引が行われることになります。

ただ、建物は定着物に分類されるものの、独立した不動産として取引されます。そして建築中の建物は、そもそも定着物とはみなされないので注意です。立木法で登記されている立木は建物と同じく、土地から独立していると捉えられます。

立木法の登記がない立木、あるいは果実といった定着物は、明認方法によって土地から分離して取引可能となります。明認方法は定着物を削り所有者の名前を墨書きしたり、所有者の名前を立て札で示す方法を指します。自宅を売っても庭木や石などを所有したり、他の人に売却したいのであれば、こういった方法で所有権を明確にすることが重要です。庭木や石は定着物で不動産そのものではありませんから、売却前に処分しても大丈夫です。ただし、庭木を付加価値に不動産を売出し、買い手がついた後に処分するのはトラブルのもとなので注意する必要があります。

その他注意としては、明認方法のない庭木や石などを含む不動産を売却した後は、所有権を放棄したものとみなされることが挙げられます。買主が庭木や石などを不要として、売主に断りなく売却や処分をしても、売主は異議を唱えることができなくなります。だからこそ所有権は明確にしておくこと、勝手に処分されたくないのであれば、不動産を売却する前に移動などを済ませておくのが賢明です。当然ですが、不動産売却前の庭木や石などの搬出とその後の埋戻しに関しては、売主の責任と負担で行う必要があります。