第93回 あずまくんが答える『新聞やチラシで競売物件を見ることがあります。個人でも購入できるのでしょうか。注意すべきことはあるでしょうか。』

新聞やチラシなどで見かける競売物件に興味を持っている方は非常に多いかと思いますが、競売にかけられる物件への入札は個人でも参加することが可能です。
競売物件のほとんどは、市場価格よりも安く、通常査定の6~7割程度の価格で購入できるというメリットがあります。また、所有権移転登記や抵当権抹消登記などの手続きを裁判所が行ってくれるので、一般的な不動産物件よりも購入後の手続きも簡単です。競売物件には、以上のようなメリットがありますが、デメリットがないわけではありません。
まず挙げられるデメリットとしては、物件の詳細な情報が得られないことです。競売物件は、一般的な不動産売買では当たり前の内覧ができないことが大半で、所有権が移転してからでないと室内の状態をチェックできません。裁判所から明細書・評価書・現況調査報告書の3つの資料を得ることはできますが、知りたい情報が全て記載されているわけではなく、資料などから得られるイメージとは大幅にかけ離れた物件の可能性もあります。
また、競売物件は売主が存在しないという特徴があります。そのため、購入後に破損や汚れといった不備があったとしても、一般的な不動産のように売主に契約不適合責任を問うことができません。仮に不備があった場合は自分で費用を負担して修繕する必要がありますし、前所有者の残置物が見つかった場合も自分で処分する必要があるので注意が必要です。
加えて、競売物件の購入で最も懸念されるのは、物件の引き渡しがスムーズに行われない可能性があることです。競売物件では、前の所有者が中々立ち退いてくれないというケースも多いのですが、このような場合、購入者が立ち退き交渉をしなければなりません。立ち退き交渉が上手くいけば良いのですが、上手く進まなかった場合は裁判所に引き渡し命令の申し立てを行う必要がありますし、裁判所の命令で強制的な退去が行われることになったとしても、家具の運搬費用などがかかった場合は購入者がその費用を負担する必要があります。
このように、競売物件にはデメリットも多数あるので、入札に参加する際はデメリットについて十分に理解しておくことが大切です。