第27回 あずまくんが答える『耐震・免振・制振の違い』

地震対策として、耐震・免振・制振の3つが挙げられます。この3つの違いについて説明させていただきます。
まず耐震についてですが、地震が起きた際に、その地震の力に対して壁の強度を上げることで耐える構造のことを意味します。地震の揺れを建物内部に伝えて建物自体を揺らすことで、倒壊を防ぐ効果があります。この場合、上層階になるほど揺れが大きくなります。
次に免振についての説明です。免振は建物と基礎との間に免振装置を設置して、建物自体を地盤と切り離すことで、建物全体に直接地震の揺れを伝えないという構造です。
最後に制振ですが、建物の柱や梁や壁など構造上大切な部分に、ゴムダンバーやオイルダンバーといった制振装置を組み込んで、建物全体に伝わった地震の揺れを吸収するという構造となります。制振は、地震の揺れが増大する高層ビルなどに使われると有効な構造となっています。
実際大きな地震が起きた際、耐震・免振・制振構造では、室内の状況がどれだけ変わるのか比較してみたいと思います。まず家具が転倒する可能性ですが、最も低いのは免震構造となります。これに伴い、電化製品の転倒や破損、食器やガラスなども飛散も免震構造が一番低いと言えるでしょう。建物の柱や梁といった重要な躯体部分の損傷の可能性は、制振構造も低くはなりますが、免震構造が最も低くなります。建物の揺れる大きさは、耐震構造の場合は1階から2階へいくほど大きくなり、免震構造の場合は、地表の揺れが直接建物に伝わらないため、地面で感じる物よりは小さくなります。制振構造は、耐震構造に比べて上層階へいくほど抑えられますが、地表面で感じる揺れよりは小さくなりません。耐震・免振・制振にはこのような違いがあります。
簡単に言うと耐震は建物を固くする、免振は揺れにくくする・制振は揺れを逃すといった特徴を持っています。