第190回 賃貸に住んでいますが、中古の一戸建ての購入を考えています。注意点を教えてください。
現在賃貸住宅にお住まいで中古の一戸建ての購入を検討されている場合、物件の選定や購入手続きにあたりいくつかの重要な注意点があります。新築とは異なり中古住宅は既に使用されてきた建物であるため、建物の状態や法的な問題将来的な維持管理コストなど確認すべき点が多岐にわたります。まず確認すべきことは、建物の築年数と構造です。特に1981年以前に建てられた住宅は旧耐震基準が適用されている可能性があり、現在の耐震基準を満たしていないケースがあります。そのため、耐震診断を受けて安全性を確認することが重要です。木造か鉄骨かなど構造の違いによって劣化の進行や修繕の必要性が異なるため、建物の構造に応じた確認が必要です。
次に確認したいのが、住宅の劣化状況です。外壁や屋根のひび割れ雨漏りの痕跡、床の傾きシロアリの被害などは目視である程度確認できますが専門的な調査が必要な場合もあります。購入前にホームインスペクション(住宅診断)を依頼することで建物の状態を客観的に把握することができ、見えない瑕疵に気付く可能性が高まります。診断には数万円程度の費用がかかりますが、大きな修繕費用を回避するための有効な投資といえます。
中古住宅の場合は、土地の権利関係も重要です。所有権に問題がないか接道義務を満たしているか、再建築可能な土地かどうか都市計画法や建築基準法に照らして制限がかかっていないかなど法的な確認を必ず行う必要があります。住宅ローンの利用についても注意が必要です。中古の一戸建てでは築年数が経過している物件の場合、金融機関によっては融資の対象とならないこともあります。違法建築や用途地域の制限により将来的な増改築や建て替えが難しくなることもあるため、購入前に不動産会社や司法書士建築士などの専門家と連携しながら調査を進めることが大切です。