第188回 不動産の売買について、媒介契約というものがあると聞きました。どのようなものでしょうか。
不動産の売買でいう媒介契約とは売主または買主が宅地建物取引業者に対し、相手方探しや広告案内条件交渉契約手続の支援を委ねその範囲や報告方法独占性を取り決める約束です。ポイントは、依頼の独占度合いが異なる三つの型があることです。一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の順に業者側の義務が重く、依頼者の自由度は小さくなります。
一般は複数社へ同時依頼ができ、自己発見取引も可能です。専任は一社限定の依頼ですが、自分で見つけた相手と直接契約することは可能といえるでしょう。専属専任は一社限定に加えて自己発見取引が不可で、必ず依頼業者を介して契約します。専属専任はレインズ登録が5日以内、専任は7日以内に義務づけられ、業務報告は前者が1週間に1回以上、後者は2週間に1回以上、一般は法的義務がありません。いずれの媒介契約も有効期間の上限は3カ月で、更新は任意です。広告の媒体や掲載内容現地看板の有無、内見対応の方針、近隣への配慮などは開始前に文書で合意しておくと齟齬を防げます。
仲介手数料は原則で成約時に発生し、上限は売買価格の3%+6万円に消費税を加えた額です。未成約であれば手数料は発生せず、実費精算のみが一般的です。注意したいのは利益相反の管理です。不動産の売買では一社が売主・買主の双方から手数料を受け取る両手仲介になり得ます。価格交渉や囲い込みのリスクを抑えるため反響・内見数・申込状況の定期報告、レインズ登録証の提示、他社客の内見受け入れ方針を明確に求めるとよいでしょう。媒介契約の期間中でも委任契約の性質上、原則で解除は可能ですがやむを得ない事由なく途中解除すると相手方に発生させた費用等の賠償が問題となる場合があります。
専任系を選ぶメリットは活動の手厚さと情報管理の一元化、一般のメリットは競争による機動力と自由度です。売却スピードを優先するのか価格最大化を狙うのか、プライバシー配慮を重視するのかといった優先順位と物件の地域相場・希少性・販売戦略の整合で選び分けるのが実務的です。