第182回 梅雨時にしっとり歩きたい養翠園の「あじさい小路」

皆さんは和歌山市西浜にある名勝「養翠園」をご存知ですか?
国指定文化財の大名庭園で、過去にドラマや映画のロケ地として撮影が行われた聖地でもあります。
養翠園は紀州10代藩主・徳川治宝(はるとみ)の別邸だった水軒御用地の庭園として、江戸時代後期の文政元年(1818年)に造営。池を中心として園内を歩いて巡りながら景色を楽しむ池泉(ちせん)回遊式庭園です。
約33,000平方メートルに及ぶ広大な敷地には、見どころがたくさん!
最大の特徴は全国的にも珍しい海水を池に取り組んでいる「潮入りの池」。
2カ所ある水門を開閉することで海水の量を調節するため、淡水と海水が混ざった汽水域に生息するイナやハゼ、鴨やサギといった渡り鳥もやってくるそうです。
園内にある「養翠亭」は藩主が使用した別荘建築です。
徳川治宝が来遊した際に使用した「御座の間」や、畳や障子など全て平行四辺形という全国唯一の構造である「左斜め登り廊下」など、当時のまま保存された数寄屋造りの貴重な建物は一見の価値ありです。
梅雨入り時期になるとガクアジサイやヤマアジサイが美しく咲き誇ります。この時期にだけ開放される「あじさい小路」をのんびりと散策するのも風流ですよ。