第106回『春に行きたい! 川の参詣道「熊野川」』

寒さが少しずつ和らいできて、お出かけにぴったりの季節はもうすぐ! そんな時、ちょっと足を伸ばして行きたいのが県南部の山間エリア。世界遺産に登録されている熊野古道や熊野本宮大社といった歴史ある観光スポットやおしゃれなカフェなどがあり、海沿いの街とは違った魅力にあふれています。そんな周辺エリアをドライブしていると視界に入って来るのが、ライトグリーンの水面が美しい『熊野川』です。

 

紀伊半島中央部を南へと流れ、大台ケ原を水源とする熊野川は、奈良県、和歌山県、三重県を流れる新宮川水系の本流です。流域面積は2,360平方メートルで近畿3番目、河川の延長は183kmと近畿一の長さを誇る一級河川。古くから「筏流し」などの水上交通が盛んで、中、下流域にあたる新宮・本宮間は、地域の特産だった木材や炭の輸送で賑わい、住民や旅人の渡し舟としても利用されていました。

 
熊野川のなかでも、熊野本宮大社と熊野速玉大社間の流域は「紀伊山地の霊場と参詣道」における「川の参詣道」として2005年に世界遺産へ登録されています。平安時代以降、皇族や貴族らを中心とした参詣者が熊野三山を訪れる「熊野詣」が人気でしたが、当時、本宮大社の社殿は熊野川の中州にあったため、社殿に到着した参詣者は舟で熊野川を下り、速玉大社を訪れていました。これが、熊野川が「川の参詣道」といわれる由来です。

 

現在では、当時の川旅の雰囲気を感じることができる「川舟下り」が運行されており、「道の駅瀞峡熊野川」から速玉大社近くまで巡ることができます。桜の季節になると山桜が美しく咲き誇り、観光客を楽しませてくれる熊野川の周辺エリア。車でのんびり出かけてみてはいかがでしょう?