第102回 『「和歌祭四百年式年大祭」、歴史と伝統に彩られた400年』

「紀州東照宮」(和歌山市和歌浦)創建400年にあたる節目の年にともない、毎年5月第2日曜に開催される『和歌祭』が、
2022年は「和歌祭四百年式年大祭」として、日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」から和歌山城周辺で、
5月15日に執り行われます。400年を迎えるにあたり、壮大な渡御行列に「第八代将軍 徳川吉宗公」を時代劇で演じた松平健さんの出演も決定しています。

和歌祭とは紀州東照宮の大祭の渡御の呼称で、別名「紀州の国祭」「権現祭」などとも呼ばれている祭りの行列です。1619年(元和5年)、
徳川家康の十男である頼宣が、初代藩主として和歌山城に入城しました。
1621年(元和7年)には和歌浦の権現山に家康を祀る「紀州東照宮」を創建し、その翌年から始めた例大祭が和歌祭です。

和歌祭と呼ばれているのは、東照宮がある山を和歌山(わかさん)といい、一山をあげての祭ということで和歌祭と呼ばれたという説や、
江戸時代に東照宮と口にするのは恐れ多いということで「和歌の御宮」と言い習わされていたところから、
和歌祭と呼ばれるようになった、などの言い伝えがあるそうです。

108段の急峻な参道の石段を神輿が勇壮に駆け下りる「神輿おろし」を皮切りに、戦国時代の名残を遺す多彩な演舞を披露。
総勢1000人もの行列が町を練り歩く様子は、時代絵巻さながらです。現在でも行列の中に当時の様子を感じさせる種目もあり、
他の祭のお渡り行列との違いを見ることができる点でも全国に類を見ない祭として、地元の人びとにより誇りをもって受け継がれてきました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、近年は祭自体の中止または縮小を余儀なくされました。
新たな年を迎えて心機一転、今年こそ勇壮で歴史のある和歌祭を間近で見守りたいものですね。