第97回 『「語り部として和歌山市の魅力を広く伝えたい」/紀州語り部・松浦光次郎さん』
皆さんは「語り部さん」をご存知ですか? 昔ばなしや民話、歴史などを現代に語り継いでいる人のことで、観光地を訪れると、よく見かけるのではないでしょうか? 地域の魅力に精通する語り部さんに随行してもらうと旅がもっと楽しくなるということで、団体旅行はもとより、個人旅でも依頼される方がいらっしゃるそうです。今回は、そんな語り部さんをご紹介します。
ある日の友ケ島取材に同行してくださった松浦光次郎さんは、「紀州語り部」に所属する語り部として和歌山市の魅力を伝えています。昭和40年生まれの松浦さんは、新和歌浦駅(当時)と高津子山山頂を結んでいた「新和歌ロープウェイ」で勤務していました。その際、年配の方々が携わっている語り部の仕事に興味を持ち、和歌山市観光課に相談。平成9年に語り部としてデビューしました。
「和歌山市での語り部の仕事は、まず和歌山城からスタートします。最初やから、わからない事も多くて、休みの日は図書館で資料を集めて勉強していましたわ。当時の語り部は60歳以上の方がほとんどで、32歳だった僕が一番若かった。先輩方からは資料に載ってないようなエピソードも現場でたくさん教わりました」。
松浦さんはやがて観光関連の仕事に携わることになり、和歌山市の成り立ちや観光についてますます知識を深めていきます。そして平成14年からは、友ケ島でも語り部の活動をスタート。友ヶ島の歴史を軸に、町では見かけない珍しい植物についてなどの軽妙な語りは、疲れた心身に効果てきめんです。
語り部を続けていて、忘れられない思い出があります。それは戦時中に友ヶ島内の海軍聴音所に勤務されていた方との出会いでした。
「僕を取り上げてくれたテレビ番組を観て連絡をいただきました。後日、大阪在住のその方とお会いして、話をうかがい『レシーバーから船のスクリュー音や魚の鳴き声が聴こえてくる』というエピソードに驚きましたね」。
現在も月に2、3度、ツアーや個人での観光客を友ヶ島に案内するほか、依頼があれば、和歌山城から本町の中心部や和歌浦、紀三井寺など和歌山市内の主要観光地をナビゲートしています。
「和歌山市の魅力は、海、山、川全てが揃っていること。お客さんと自分も楽しんで、喜んで帰ってもらうのが1日の成果だと感じてます。個人のお客さんも受け付けているので、いつでもゆうてください!」。