第68回 『「和歌山市で最も広い庭」名勝・養翠園を歩く』

皆さんは和歌山市西浜にある『養翠園(ようすいえん)』をご存知ですか? 和歌山港から雑賀崎、和歌浦へと至る道中にある大名庭園です。
 『養翠園』は紀州徳川家第十代藩主徳川治宝(はるとみ)の別邸である首里県御用地の庭園として、文久元年(1818年)から9年(1826年)にかけて造営された回遊式庭園。海水を引き込んだ「汐入」の池が特徴で、潮の満ち引きにより水面が上下する様子は風情があって見どころの1つ。このような庭園は、全国でも浜離宮恩賜庭園とこちらだけ。とても貴重なのです。

庭園内には松の木を中心に、四季折々の花々が咲き誇ります。春はアヤメやカキツバタ、夏になると紫陽花。晩秋には日差しを浴びた紅葉が美しく映え、冬の訪れと共に椿が咲き初め、飛来する鴨の愛くるしい姿が、観光客の心を癒してくれます。
 また御茶屋「養翠亭」(予約者のみ別途有料公開)や、茶室「実際庵」、和歌山市指定文化財「湊御殿」などが現存。旧地に古いまま保存されている建物と庭園は、文化財として国指定名勝の指定を受けています。

一番の見どころは、広大な池と石橋、遠くに山々を眺めることができる景色。でもどんなポジションからでも美しい自然を感じることができるので、散策して見つけてみて。
※入園には入園料が必要です。