第59回 『中華そばの名店、最後の一杯』

皆さんは「中華そば まる豊」をご存知ですか? 知らない人は「地盤沈下で傾いた中華そば屋さん」と言えば、ピンとくるでしょうか。元々傾いていた土地に店舗を構えていた同店。和歌山ラーメンブームの際には、県外から多くのマスコミが取材に訪れ、全国的にも有名になりました。柔和な人柄のご主人が作る中華そばは、あっさりとした豚骨醤油味。他の中華そばには見られない、海苔とゆで玉子のトッピングが特徴です。2017年6月には和歌山市本町に店舗を移転し、ご夫妻で切り盛りしていましたが2020年3月16日をもって閉店しました。

写真は、閉店最終日におじゃまして撮影した店内と中華そば。久しぶりに食べたのですが、柔らかめのストレート麺とスープのあっさり感は健在! 閉店の知らせは残念ですが、現在は2代目となる方が和歌山市黒田で新たにお店をオープンし、ご主人の味を守っています。
地盤沈下で傾いていた頃の店舗でのこと。入店すると平衡感覚を失う「あの感じ」は、迎えてくれるご主人の笑顔と共に、今も記憶に残っています。