第51回 『大正ロマンの趣きを感じる時間。――新宮市旧チャップマン邸』

1921年、東京駿河台に創立された「文化学院」創始者の1人として広く知られる、新宮市名誉市民・西村伊作。教育者としての顔だけでなく芸術家・建築家としても活躍し、多くの建築作品を手がけました。そんな彼が1926年に建築したのが『旧チャップマン邸』。

当時20年に渡り新宮で暮らしたアメリカの宣教師・チャップマンの居宅です。その後、昭和期には増改築を施し旅館「有萬」として使用。同じく市名誉市民で芥川賞作家・中上健次も執筆活動を行っていたことでも知られています。現在、この住宅は観光客や市民が交流できる施設として一般開放されています。

接客本位だった住宅を家庭生活重視とすることで、現在の住宅様式の普及に大きく貢献したと言われる希少価値の高い建築物。邸内には大正時代の趣きを感じさせる調度品の数々をはじめ、中上健次の思い出の品も展示されています。

熊野速玉大社や神倉神社など歴史的・文化的価値のある観光スポットが多い新宮市。散策ルートの1つとして、大正ロマンの雰囲気を感じに訪れてみては