第九回「意外と知らない!? 紀州てまりの起こり」

♪てんてんてんまり♪ の童謡『鞠と殿様』でも馴染み深い和歌山の伝統工芸品・紀州てまり。

色とりどりの糸模様が華やかで、本当に美しいですよね。最近では手作り体験ができるスポットなども評判で、海外からの観光者にも人気のお土産となっているようです。

そんな日本の歴史薫る紀州てまりは、江戸時代、紀州五十五万五千石の殿中で、女官たちが姫君のために、はまぐりなどの貝殻に砂や小石を入れて真綿でくるんで絹糸でかがって転がしたりして遊び始めたのが起源だと言われています。

今のようにテレビもゲームもない世の中、子どもたちの貴重な遊び道具の一つだったことでしょう。

伝統を生かしつつ、当世風の感覚を取り入れた近年の紀州てまりも、今でも一つひとつ手かがりで仕上げられているのだとか。

「いつまでも丸く美しく納まるように」と嫁入り道具として使われたり、お祝い事でのプレゼントなど、縁起の良いものとして永く愛され続けている和歌山が誇る名品です。